睡眠予備知識

寝る前のスマホ「ブルーライト」より「コンテンツ」を気にすべき理由【ブルーライト3回シリーズ 第1回】

「寝る前にスマホを見ると、スマホのブルーライトが睡眠に悪影響をおよぼす」よく聞く話です。

私も長い間、そう聞いてきました。
ただ、私がブルーライトを気にし始めたのは眠りを良くするためではなく、目の疲れを何とかするために情報を集めていたころです。
その後、眠りにも悪いらしいと聞いてから、なぜ悪いのかも知らないまま、「何となく」寝る前のスマホを避けるようになりました。

ところが、スマホを見ることなく布団に入っても眠れない夜が、何度もあったのです。翌日の予定を考えて、「今夜はスマホをやめておこう」そう決めて横になったのに、寝つけない。スマホを見ていないのに眠れていない、と感じた夜が、いくつもあります。

逆に、スマホを見た夜でも、すんなり眠れた日もありました。ただそれは、私が使っている睡眠導入剤のおかげかもしれませんが...

どちらの経験からも私は、眠れない原因をブルーライトだけに求めるのは無理があると感じています。では、寝る前のスマホの何が問題なのか。この記事では、睡眠学の教本や専門家の話を確かめたうえで、私の考えを書いていきます。

先に私の結論を書くと「寝る前にスマホを見るなら、画面の光の影響よりも、見ているコンテンツ(動画やSNSなどの内容)の影響を気にするほうがいい」というのが私の考えです。

教本には「光の有無にかかわらず」と書かれていた

私が受けた睡眠の講座の教本には、次のように書かれています。

就寝前のパソコンやスマートフォンの利用は光の有無にかかわらず,その行為自体が睡眠に悪影響を及ぼすため使用は控える.

(『健康・医療・福祉のための睡眠検定ハンドブック up to date』第1版 p.81)

「光の有無にかかわらず」とあります。つまり教本で問題とされているのは、画面の光だけではありません。寝る前にスマホを使うことそのものが、問題とされているのです。

別の教本には、夜中に目が覚めたときのことが書かれています。

夜間、中途覚醒をしたときに注意が必要なのがスマートフォンをみることです。液晶画面からのブルーライトも原因の1つですが、SNSやメールなどを閲覧することで覚醒が生じてしまい、再入眠しづらくなります。

(スリーププランナー講座の教本 p.98)

こちらの教本では、ブルーライトを「原因の1つ」としたうえで、SNSやメールを見ることで目が覚めてしまう、と説明されています。光のほかに、SNSやメールを見る行為も原因になる、という説明です。

ただ、どちらの教本でも、勧められているのは「控える」ことです。見るものを選べばよい、とは書かれていません。この点については、本記事の最後にもう一度触れます。

専門家は、光以上にスマホのコンテンツを気にしてほしいと話していた

では、スマホ画面の光と、そこに映るコンテンツとでは、どちらの影響が大きいのでしょうか。私が確認した範囲の教本には、この2つを比べた記述はありません。

ただ、比べて話している人がいらっしゃいました。オレキシンの発見で知られる、柳沢正史教授(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 機構長・教授/2026年10月現在)です。柳沢教授は、私が取った資格のひとつ、睡眠ウェルネスアドバイザーの講座を運営している株式会社S'UIMINを大学発ベンチャーとして立ち上げた方でもあります。インタビューでは、次のように話していました。

(寝る前)光以上に気にしてほしいのはスマホのコンテンツで、ゲームやSNSの書き込みやショート動画などの双方的コンテンツは、ドーパミンがたくさん出て睡眠に良くないです。リラックスできる自分の入眠儀式として習慣化できるコンテンツを見つけてください。

(サイエンスポータル、2025年5月27日、強調は筆者)

この記事で柳沢教授は、光とコンテンツを比べたうえで、コンテンツのほうを気にしてほしいと話しています。睡眠に良くない例として挙げられているのは、ゲーム、SNSの書き込み、ショート動画などで、まとめて「双方的コンテンツ」と呼んでいました。また、結論として勧めているのは、眠りに入るための習慣になるようなコンテンツを見つけることです。

私はこれを読んだとき「自分が寝る前に、どれなら見てよくて、どれを避けるべきか」という、自分なりの線引きを初めて言語化できました。知識として仕入れるつもりで読んだ話が、私の習慣を説明する言葉に変わった感覚です。

私が寝る前に見ているもの、避けているもの

私自身、寝る前にスマホで動画を見ていますが、見るものは選びます。

自分が見ても良いとしているのは、アクションもののアニメや映画のワンシーンを切り抜いたショート動画です。前後の話を知らなくても楽しめて、「機会があれば、あとで全編を見ればいいや」くらいで済むものを選んでいます。言いかえると、のめり込み度の低いもの、を選んでいます。

懐メロ動画も好きですが、見はじめると延々と見てしまいます。これは自分で分かっているので、見るのは休みの前の日だけとルール化しているし、今のところ守れています。

懐メロとは別に、意図的に避けているものは、考え込んでしまうシリアスな動画、理屈っぽい動画、刺激の強い動画、それからリアルな怪談などです。それと、思わずツッコミを入れたくなるような動画も避けています。ツッコミどころが多いと、目が冴えてしまうので。

それでも、私がよく見ているのはショート動画です

ここで、正直に書いておくべきこと...私が見ている切り抜き動画もショート動画で、柳沢教授が「双方的コンテンツ」の例に挙げたものに含まれるんです。

実際、ショート動画をついつい見てしまい、気が付けば1時間があっという間に過ぎていた、という夜もあります。見るものを選んでいるつもりでも、短い動画を次々に見ていることに変わりはありません。

教本が推奨してる「寝る前のスマホを控える」ことが、私にはまだできていません。だからこそ私は、次善の策として、何を見るかを選んでいます。そして、それが十分な対策だとは思っていないです。

ただ私自身の経験上、何も考えずに見るよりは、何を見るかを選んだほうが眠りへの影響を小さくできると信じています。

まとめ

寝る前のスマホについて、この記事で確かめた事実は2つです。

  • 睡眠学の教本では、画面の光の有無にかかわらず、寝る前にスマホを使うことそのものを控えるよう勧められています。
  • 柳沢教授(オレキシンの発見により、2026年のアルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞※1)は、光以上にスマホのコンテンツを気にしてほしい、と話しています。その例として挙げられた中には、ショート動画もありました。

そのうえで、私の考えは次のとおりです。

寝る前にスマホを見るなら、画面の光の影響よりも、見ているコンテンツの影響を気にするほうがいい。

控えることができるなら、それがいちばんですが、控えることができないなら、せめて、のめり込まずに済むものを選ぶ。それが、眠れない側の私の、いまのやり方です。

なお、つらい不眠が続くときや、日中に強い眠気があるときは、医療機関に相談してください。薬のことは、主治医に相談してください。

※1 受賞については、日本医療研究開発機構(AMED)のお知らせを参照

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