
睡眠の民間資格を、4つ取りました。本も読み漁りました。
それでも、眠れない夜は続いています。
書いている私は、50代後半の会社員です。
「4つも取って、まだ眠れないの?」と聞かれたら、「はい、まだです」と、正々堂々と答えますね。
ただ、取って無駄だったかというと、そうでもないのです。眠りは変わりませんでした。でも、変わったものはありました。
この記事では、資格を取ったきっかけ、取ってみてどうだったか、役に立ったことと、教科書どおりにいかなかったことを、良くても悪くても、そのまま書きます。
なぜ4つも取ったのか
きっかけは、あるとき気づいたことでした。自分が人生で一番長く抱えている悩みは「睡眠」だ、と。
眠れない夜を抱いて、もう40年ほどになります。いちど、知識をきちんと整理しておきたい。そう思って、講座を受けることにしました。2023年ごろのことです。
当時から意識していたのは、「俗説」と「エビデンス(根拠のある話)」を分けて考えることです。
もうひとつ、下心もありました。ブログのネタにしようと考えていたのです。自分の悩みと、俗説と、エビデンス。この3つを混ぜれば、ほかにはない記事になるのでは、これをもとに成功体験が生まれれば…とか、期待していました。
4つとも、民間の団体が認定する資格で、講座を受けて取りました。取った順番と、そのときの理由はこうです。
- 睡眠改善インストラクター:当時、ブログでは「権威性」、つまり書き手の肩書きや実績が大事だと言われていました。まずは肩書きを、と考えて受講しました。学術的な色合いが強い講座でした。
- 睡眠ウェルネスアドバイザー:1つ目が学術寄りだったので、もっとカジュアルなものを、と選びました。
- スリーププランナー:睡眠と自分の体験を仕事につなげたくて、ビジネス色の強いものを選びました。
- 睡眠健康指導士(初級):正統派で、難関だと聞いていました。肩書きに使っている人も多かったので、受講しました。
並べてみると、理由の半分は「肩書き」と「ブログ」です。眠りたい人の行動としては、ずいぶん遠回りをしています。
取ってみて、眠りは変わったか
先に結論を書くと、眠りそのものはほぼ変わっていない、というのが私の印象です。いまも睡眠導入剤を使っています。
いっとき、講座で学んだことを意識して行動にうつすようになりました。でも、長くは続きませんでした。
エビデンスを背景にした「科学」に、ガッチガチに縛られたくない。そんな気持ちがあって、「睡眠は十人十色、千差万別だから」を言い訳に、行動をサボることがほとんどでした。
それに、教本に書いてあることを、脊髄反射のようにパッと思い出せるわけでもありません。知識を実生活になじませるには、時間と、意識して続けることが必要だとあらためて実感しました。どんな勉強でも同じなのですが。
なので、いまの自己評価はこうです。
「行動をちゃんと起こせていない。だから、睡眠も変わっていない」
縛られたくない、という気持ちが、ダラダラにつながっているのかもしれません。自己嫌悪になる日もあります。「ま、いっか」の日もあります。
一方で、変わったこともあります。データの見方です。
スマホの睡眠アプリやウェアラブル機器は、睡眠の深さや心拍数を出してくれます。そのスコアに心を揺さぶられるのではなく、中長期のデータで見よう。そう思うようになりました。
もうひとつ変わったのが、レム睡眠の見方です。
睡眠アプリのグラフでは、レム睡眠は浅い眠りの近くに描かれます。そのせいで、「レム睡眠=浅い眠り」に見えてしまいます。そういうイメージを持っている人は、多いようです。
でも講座で、レム睡眠は記憶の整理や定着、情動(感情の動き)の調整に関わると教わりました。睡眠のサイクルの中で、大事な役割を持っているのです。
それからは、レム睡眠にも注目してアプリの結果を見るようになりました。結果に対する理解も、以前より確かになった気がします。
眠りは変わらない。でも、眠りの見え方は変わりました。
「解決してよ、先生」に答えられなかった
資格を取ったあとの話です。
転職してすぐの自己紹介で、睡眠の資格を持っていることを話しました。その数か月後のことです。一時的に眠れなくなっていた年上の同僚に、「眠れないんだよ。解決してよ、先生」と言われました。
歩きながらの会話でした。相手の何を探れば、原因が見えてくるのか。どんな助言なら適切なのか。即座には、何も思いつきませんでした。
資格を持っていても、とっさの一言が出てこない。知識は、頭に入れただけでは出てきてくれないようです。
同じころ、こうも思いました。会って間もない人の眠りに助言ができる人は、すごい。すごいというか、どうなんだろう、とも。
眠りは十人十色です。その人の生活をよく知らないまま「こうすべきですよ」と言うのは、少なくとも私には難しい。
いまは私自身が、こうして睡眠をテーマに発信しています。だからこれは、人ごとではありません。
このブログで「こうすれば眠れます」と書けないのは、そのためです。書けるのは、自分の寝室と生活で試したことだけです。
それでも、役に立ったこと
では、学んだことは無駄だったのか。そうは思っていません。役に立ったことを5つ挙げます。
1. 「眠れないこと」への不安が、ずいぶん減った
これがいちばん大きな変化です。眠れない夜に、「まぁ、一晩くらいなんとかなる」と思えるようになりました。眠れない日が続いても、「また眠れない……まぁ、そんな時期なんだろう」です。
眠れるようにはなっていません。でも、眠れない夜との距離感は変わりました。
2. 「体感」と「計測データ」はズレる、と知った
眠れた、眠れなかったという実感と、機器で測ったデータには、乖離がある。講義でそう教わりました。
これは、不必要に自分を不安にさせない材料として、いまも活きていると思います。
教本にも、本人の評価と測った結果はしばしば食い違う、と書かれています。ただ、載っている例は逆向きでした。寝不足が続くと、自分の眠気を正しく評価できなくなる、というものです。ズレは、安心の材料にも、用心の材料にもなるようです。
3. よく眠れている60代の脳波を見た
講座で、60代半ばの女性の、睡眠中の脳波を見る機会がありました。深い眠りの比率も、レム睡眠の比率も、良好なものでした。
よく眠れる高齢者も、いる。そのことに安堵しました。「歳を取れば眠れなくなる」は、少なくとも全員の話ではなさそうです。加齢と眠りについては、50代の眠りは「歳のせい」なのかに書きました。
4. 青い光の話を、理屈で理解できた
夜の青い光は眠りに響く、とよく言われます。スマホの画面だけでなく、部屋の照明にも関わる話です。
白いLED照明の光は、青い光に、その補色である黄色を組み合わせて作られている。そう学んで、この話を理屈で理解できました。
そこで、自宅の照明を暖色に替えました。暖色は、白色より青の成分が少ないからです。教本でも、寝る前の照明は、青の成分が少ない電球色にすることが勧められています。
ただ、白い光に慣れていたので、夏に暖色の明かりが灯っていると、暑苦しくて不快でした。結局、使いはじめたのは冬からです。翌年は、夏でも苦にならなくなりました。
5. 寝る前に部屋を暗くしたら、「何となく」寝つきやすい
寝る前に部屋の明かりを落とすと、眠りやすくなる。これは、私が受けた講座のすべてで出てきた話です。
そこで、寝る前に照明の明るさを下げてみました。すると、「何となく」のレベルではありますが、寝つきやすさを実感できました。
あるいは、暗くて目が疲れるから、あきらめて早く寝る。そういう使い方も、ありなのかもしれません。
教科書には書いていなかったこと
役に立たなかった、というより、教科書だけではカバーしきれなかったことがあります。2つとも、光の話です。
冬の朝は、起きる時間にまだ暗い
私が受けた講座では、朝日を浴びて体内時計をリセットすることが推奨されています。毎朝おなじ時間に起床することも推奨されています。
とはいえ、日の出の時刻は、季節で変わります。通勤の時刻は、変わりません。
冬は、暗いうちに起きなければなりません。寒くて、外に出たくない。それに、出たところで、夜明け前の空を浴びてもどうなんだろう、と思ってしまいます。
カーテンを開けて寝たら、外灯が明るかった
朝日を意識して、遮光カーテンを開けっぱなしで寝ていた時期があります。その頃は、寝るときに外灯がかなり明るく感じました。これは住環境によるのだと思います。
そこで、SwitchBotを使って、カーテンの開け閉めを自動にしました。夜は遮光カーテンを閉めて、部屋をできるだけ暗くする。朝は開けて、日の光を入れる。そういう環境を作りたかったのです。この話は、あらためて別の記事に書きます。
教本は、私の家の外灯や、通勤の時刻までは面倒を見てくれません。そこから先は、自分で試すしかありません。
「知れば眠れる」ほど、単純じゃない
資格を4つ取って分かったのは、「知れば眠れる」ほど単純ではない、ということでした。
知識は、眠れない夜の不安を軽くしてくれました。でも、眠らせてはくれませんでした。
眠りを変えるのは、たぶん知識そのものではなく、それを行動に移して続けることのほうです。そして私は、そこがまだできていません。
だから私は、眠れる側からではなく、眠れない側の人間として書きます。学んだ知識を片手に、自分の寝室と生活で試して、良くても悪くても、そのまま。
資格を4つ取っても、まだ眠れない。その経過をここに置いていきます。
※つらい不眠が続くときや、日中に強い眠気があるときは、医療機関に相談してください。薬のことは、主治医に相談してください。